フローチャートは、プログラミングのアルゴリズムを設計する場面だけでなく、より広範な業務プロセスの可視化にも活用されます。具体的な活用事例を見ることで、その有用性がより深く理解できるでしょう。
プログラミングにおける最も身近な事例は、特定のロジックの設計です。例えば、「自動販売機のお釣り計算」を考える場合、「投入金額」を受け取り(処理)、「商品価格」と比較します(判断)。投入金額が不足していればエラー処理に進み、足りていれば「お釣り=投入金額-商品価格」を計算する(処理)。さらにお釣りを各種硬貨で払い出すために、500円、100円と大きな単位から順に割り算と余りを繰り返す(反復構造)といった流れを、フローチャートで明確に設計できます。
また、Webサービスの「ログイン認証」も良い事例となります。「ユーザーID」と「パスワード」の入力を受け(処理)、データベースの情報と一致するかを照合する(判断)。一致すればログイン後のページへ進み(処理)、一致しなければ「エラーメッセージを表示」して再度入力を促す(処理・反復)。さらに、「3回連続で失敗したらアカウントをロックする」といった複雑な条件(分岐)も、フローチャートで整理すれば漏れなく実装できるのです。
一方で、フローチャートは個々のプログラム設計(詳細設計)だけでなく、システム全体の「業務フロー」や「画面遷移」(基本設計)の可視化にも用いられます。例えば、ECサイトの「商品購入プロセス」において、ユーザーが商品をカートに入れるところから、配送先入力、決済方法選択、注文確定に至るまでの流れを図示します。これにより、システムがどのような順序で情報を処理し、どのタイミングでデータベースにアクセスすべきかを、関係者全員で共有できるようになります。