フローチャートは、JIS(日本産業規格)などで標準化された特定の図記号を用いて作成されます。これにより、誰が書いても同じ意味内容が伝わるようになっているのです。最も基本的で重要な記号は四つあります。
一つ目は「端子(たんし)」と呼ばれる角の丸い長方形(楕円形)です。これは、処理の「開始」と「終了」を示す記号であり、フローチャートの起点と終点に必ず配置されます。二つ目は「処理」を表す長方形で、変数への値の代入や計算、関数の実行など、具体的な作業内容をこの中に記述します。三つ目は「判断」を表すひし形です。ここには「Yes/No」や「真/偽」で答えられる条件(例:「A > 10」)を記述し、条件が満たされる場合と満たされない場合とで、処理の流れが分岐することを示します。プログラミングにおけるIF文に相当するものです。四つ目は「線」と「矢印」であり、処理の順序やデータの流れを示します。上から下、左から右への流れが原則となっています。
また、これらの記号を組み合わせて作られるフローチャートの基本的な構造は、大きく三つに分類されます。「順次構造」「分岐構造」「反復構造」です。
順次構造は、複数の処理が上から下へ一方通行で実行される最も単純な流れを指します。分岐構造は、ひし形の「判断」記号を用い、条件によって実行する処理が変わる流れです。3つ目の構造としては、反復構造というものがあります。ある条件が採用されると、以前のプロセスに戻って同じ作業や処理を繰り返すという流れになります。これら三つの基本構造を組み合わせることで、あらゆる複雑なプログラムの論理を表現することが可能となるのです。